筝茶会のご紹介


筝茶会とは

 筝茶会とは、広島市の亭主の屋敷で、年に数回ほど、出会いの輪を広げながら開いておりますプライベートな茶席です。 若干名のお客様を、 おもには亭主夫妻と席主の三人でお迎えしております。 席主が亭主夫妻に話を持ちかけたのがきっかけで、 筝茶会はじまりました。 その経緯のため、屋敷の主である本当の「亭主」と、 客組や連絡などの段取を務める「席主」が別におります。 点前は席主やその知人が行います。
 筝茶会のおもてなしの特徴は、亭主奥様による筝の演奏です。 季節感のある選曲で、生演奏らしい鋭い音色が、少数のお客様を前に、ぱっと咲きます。

もう一つの時間

 「遠ければ 後のあじわい 帰り道」、 立春の頃、筝茶会のために筆をとりました席主自作の色紙の言葉です。 筝茶会の席は市街地から少し離れております。 ですので、当初、お招きする側の間では、お客様に遠距離ご足労頂くことについて申し訳ないと話し合っておりました。 ところが、間もなくお客様のお礼メールなど拝読しておりますと、お客様にとっては移動時間の利便性よりも日常を少し離れることに楽しみがあるのではないかと考えるようになりました。 むしろ、席の果てた後に、すぐに日常に戻るのではなく、少し時間をかけてお帰り頂く、その帰り道を有意義に感じて頂けるような席にしたいと思い至りました。
 お客様は「筝茶会では、時間がゆっくり流れる」とおっしゃいます。 実のところ、素人が少人数で席をもうけておりますので、 あまり手際よくは出来ないのです。 茶碗を下げることを忘れて会話に没頭することもあれば、 席の途中で点前が水屋へ隠れてしまうことも。 それも景色として、お客様にはゆっくり席に溶け込んでお茶の味をお楽しみ頂いております。

一座建立の小寄席

 大抵のお客様はお一人かお二人の単位でお招きしております。 早めに到着された面識のないお客様同士が 待合で自己紹介を済まされて話が弾むことも多いようです。 旅先で同席しても知らない人との会話はなかなか難しいものですが、 ここでは場を共有しやすいようです。
 筝茶会のお客様は個人的なお付き合いとしてお招きしますので、少人数の小寄席です。 イベントで大勢が集まる大寄せと異なり、 ここでは参加者全員の名前を覚えることができます。 正客様に限らず会話に参加して頂きますが、 不思議と騒がしくはなりません。 皆さんで笑ったり、挨拶に耳を傾けたり、誰も話さず静かに湯を注ぐ音を聞いたりと、 一座建立によってモードがさらさらと移行してゆきます。
 茶の湯の特徴は亭主等が自ら客の前で茶を点てるおもてなしの心にあるそうですが、 筝茶会では殆どのお客様全員に点前が茶を点てております。 どこに座っても正客扱いなのです。

築百年の屋敷と出会う

 お屋敷は築100年にもなるということですが、 あくまで民家ですので寺院などとは異なる味わいがあります。 茶会というと規則を熟知しなければどうしようもないというイメージもありますが、 和式作法を特別に習ったことがなくても、ここでは自然体で礼儀正しく振舞うことができます。 気楽に真面目するには、とても良い環境です。
 席をもうける場所は庭に面した8畳ほどの和室です。 茶室として設計された部屋ではありませんが、 床の位置を基準に考えてゆくと、なんとなくお茶席らしい配置にできてしまうのが面白いところです。 点前の位置が決まりますと、たまたまその近くにある障子戸が茶道口の役割を果たすという具合です。 実は少しづつ試行錯誤しているのですが、いつかもっと気の効いた配置を思いつくかもしれません。

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